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映画「ミッドサマー」のラストシーンを観てもなお、まったく癒やされない件

映画「ミッドサマー」のラストシーンを観てもなお、まったく癒やされない件

2020.03.01

セラピー効果抜群!とか、爽快感がヤバい!的な事で一時話題となった映画「ミッドサマー」、劇場で観てきました。

アルファベット表記で「MIDSOMMER」。SOMMERというのは(英語表記で言うところの)SUMMERのスウェーデン表記らしいです。舞台がスウェーデンですものね。なるほどね。

冒頭で書いた通り、Twitterでは「セラピー」とか「爽快」とか言われているわけです。

さて、実際に観た私がこうして記事をしたためているのは、本当にセラピーを必要としてるような人は軽い気持ちで観るな、と声を大にして伝えたいがため。

誤解のないように言っておきたいのは「癒やされる人」の感性を否定するつもりはありません。あくまで、私はそうじゃないという事と、人によっては正反対の効果だよね?と思ったので。

現在進行形で精神不安定な人が観るジャンルじゃないのは勿論のこと、過去に色々体験した人は辛い出来事がフラッシュバックしかねません。‬

自分は断薬して随分経つけど、序盤がきつかった…。

元々ホラー映画‪は好きなので、視覚的な恐怖やスリルを煽られるだけであれば完全に割り切れるのですが、ミッドサマーという映画が一番煽ってくるのって”不安”なんですよね。

それも、単純な映像だけではなくて、カメラワーク、役者の表情、音響など様々な情報から息苦しくなるような不快感を与えてくるわけです。

【ネタバレ注意】個人的にきつかった点を挙げる

まずは序盤でダニーが電話を受けてから展開される、彼女の妹が両親を巻き込んでガス自殺を図った現場へ隊員が乗り込むシーン。内蔵が飛び出てたり、脳漿がぶちまけられているわけでもなく、(他のホラー映画と比較して)視覚的にはかなり優しい部類。

しかし、ここの音がきつい。言葉で言い表すのは非常に難しいのですが、若干スローで再生されるサイレン音に重なる不協和音(声?)。視覚的には優しい部類…のはずなのに、この音で不穏さに掛け算がされまくって、それはもう不安にさせられるのです。

そこからつながる、大切な家族を一度に失ってしまった、嘆き悲しむダニーの吠えるような慟哭もきつい。というかなんかすごく嫌な感じ。

2つ目は、ホルガ村へ続く道のりの中で、「今まで生きてきた世界とは常識が変わる」とでも言いたげな、ぐるりと世界が反転するカメラワーク。画面に酔うのもそうなのですが、「違和感」自体に不快感を覚えるような気持ち悪さにグワンと来ました。

飛行機のトイレや村に着いてからも密室でひとり声を押し殺しながら、顔を歪めて泣くダニーにもキた。精神的に参ってる時って、誰にも言えずにこんな風に泣くよねって思わずリンクしそうになりました。…とは言ってもここ以外がいまいち共感できなかったので、最後まで観ることができたわけですが。

このミッドサマーという映画、音での表現が本当に良くない(褒め言葉)。目を背けても耳に訴えかけて追い詰めて来るのです。

劇中でいきなり大きな音を鳴らして驚かすことはありません。これは私も保証する。しかしそれでも「音が無理」なんです、この映画。

観てるときはただ不快だった

少し話は逸れますが、正直なところ映画自体は観終えてからもピンと来ず、妙な不快感だけが残っていました。

帰宅してから北欧文化に詳しい人たちが書いた超絶分かりやすい考察を読み漁って、「なるほどここはこういう事だったのか」となんとなく理解し、面白いかも…?とやっと思い始めます。

‪もし家で観ていたら「(色んな意味で)すごい映画だな」としか思わなかったのでしょうが、没入感が高く逃げ場のない(あるけど)”映画館”だと、煽りに煽られた不安感のせいで「あっ、耐えられないかも」と思ってしまいました。

元々共感性が高い方ではない私ですら参るのですから、辛い経験をしたことのある感受性の高い人は軽い気持ちで観ない方が良いです。

この映画を観て「癒される」と感じられるのは、皮肉なことに“まとも”なメンタルを持つ人だけです。何を持ってまともなのかという問題がありますが…。その辺りは自分で判断してみてね(逃げ)

メンタルが不安定な人でも、変にリンクしなければ癒されているのかもしれませんが。

【ネタバレ注意】そもそもラストシーンにカタルシスがあるか?

ここではラストシーンのネタバレを含みます。

(元?)恋人クリスチャンを生贄に選んで、バーニングして、最後にニコリと笑うあのシーン。人によっては大きなカタルシスを得る模様です。

いけすかない男友達も、表面ばっかの軸ブレブレ浮気彼氏もいなくなってスッキリ♡などと、映画のラストシーンそのままでお話をスパッと切ってしまえば爽快かも知れません。

それにしたって、彼らがこんな仕打ちを受ける程の事をしたとは思えないのでいまいち共感できません。そんな尺度が通用しないのが異文化コミュニティなのだと理解はしていてもね…。

それに…、女王(メイクイーン)となったダニーってこの後どうなるんだろう?って所が引っかかりまくるんですよね。

劇中に登場した歴代女王の写真、かなりの数が飾ってありましたよね。映画に出てくるお祭りは90年に一度という触れ込みでしたが、写真というものが普及し始めた時代を顧みれば、写真の枚数からして女王を選出するのは毎年、もしくは数年程度で行われているのではないでしょうか。

にもかかわらず、劇中に「元女王」とかそれっぽい人が出てきた記憶がありません。

ちなみに、スウェーデンの「ミッドサマー」に「メイクイーン」という催しはなく、劇中での「ミッドサマー」はイギリスやカナダの文化も混ざっているようです。

調べてみたところイギリスの5月の祭りに「ジャック・イン・ザ・グリーン」というものがあるようで、そこでは王冠を被って植物に覆われた人物が登場するんですね。女王になったダニーみたいですね。

ソースはこのブログサイトから。写真もあるのでぜひ。(ホラーとは関係ない素敵な異国ブログです、念のため)

ジャックは春の化身です。 ジャックは街中を練り歩き、春の訪れを告げてまわります。
そして最後にジャックは踊りを披露し、その後、殺されることにより、春が解放されます。

ヘイスティングス ジャック・イン・ザ・グリーン祭り Jack in the Green in Hastings

ほらあ!!!

ミッドサマーに出てくるのは、文化をまぜまぜっとした架空のお祭りでしょうから、こういうのが混ざっていても不思議じゃないわけで。

…なんてこともあって、儀式が終わってしまえば「用済み」或いは女王の死をもって祭りが完結なのではと変に勘繰ってしまうのですが、単に元女王が出てくるのをわざわざ描写してないだけなのかな…。ディレクターズカット版では出てきたりするのでしょうか。

ペレがダニーの事を気に入っていた様子だったから、死なせることは無いのかな…。でも女王という栄光を手に入れたのが既に尊い事みたいな認識で、死ぬのも此良しみたいな感じなのかな…ともやもやする日々を送っております。

普通のホラー映画を求めていくとマジで不快な映画

ミッドサマーという映画は、良くも悪くも物語に起伏はありません。

不思議な存在は何も出てきません。殺人鬼に追われることも、謎のモンスターに追われることもありません。村人が悪意(ホルガ村の人たちは大体が善意だけども)を持って襲ってきたとしても、隠れながら逃げたり抵抗することもありません。

ただただ、我々の生活する日常とは違う文化と死生観を持った村のお話です。

私は当初“ホラー映画”としてミッドサマーを観に行ったから「あれ?」となったのでしょう。考察を読んでからは異文化に対して面白さを感じていて、この映画の楽しみ方ってこうじゃない!?と今に至ります。

でも最後に言わせてほしい。

私は!!やっぱり!!この映画にセラピー効果を感じません!

あっ、でも、旦那と離婚したらその時にまた観てみようと思います。

mome

記事を書いてる人

mome
フリーランスのWebデザイナー兼マークアップエンジニア。その日が凌げればいいじゃない!な刹那的な日々を過ごす。もうすぐ三十路なのに焦ってないことに焦りつつある。

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